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宇宙(うちゅう)から雨を測(あめをはか)る新型(しんがた)レーダー、「DPR(ディー・ピー・アール)」を見(み)てきたよ!(1)

2012.03.16

(模型の「DPR」)

2012年(ねん)2月(がつ)9日(か)、筑波宇宙(つくばうちゅう)センターで、日本製(にほんせい)の新型(しんがた)レーダーが報道陣(ほうどうじん)に公開(こうかい)された。レーダーの名前(なまえ)は「DPR(ディー・ピー・アール)」。アメリカの衛星(えいせい)に搭載(とうさい)するため筑波(つくば)から運び出(はこびだ)し、衛星(えいせい)が組み上(くみあ)がった後(あと)は種子島(たねがしま)に戻(もど)ってきて、そこからH-IIA(エイチ・ツー・エー)ロケットで宇宙(うちゅう)へ飛び出(とびだ)す予定(よてい)だ。

DPR(ディー・ピー・アール)とはどんなレーダーなのか、どこがすごいのか、何(なに)を調(しら)べようとしているのかを解説(かいせつ)するよ。<画像(がぞう):DPR(ディー・ピー・アール)を搭載(とうさい)するGPM主衛星(ジー・ピー・エムしゅえいせい)の模型(もけい)


「DP(ディー・ピー・アール)」のは、もちろんレーダー(RADAR(レーダー))のだ。

レーダーと聞(き)くとみんなは、飛行機(ひこうき)の管制塔(かんせいとう)や船(ふね)のブリッジのてっぺんで、くるくる回(まわ)っているアレをイメージするんじゃないかな? 電波(でんぱ)を発射(はっしゃ)し、はね返(かえ)ってきた電波(でんぱ)をキャッチすることで、その電波(でんぱ)をはね返(かえ)した「何(なに)か」についての情報(じょうほう)を得(え)るための機械(きかい)だ。

「呼(よ)んだ?」

飛行機(ひこうき)や船(ふね)の場合(ばあい)は、見(み)えないほど遠(とお)くにいるそれらの方向(ほうこう)や距離(きょり)や速度(そくど)を知(し)るために使(つか)われる。超音波(ちょうおんぱ)で水底(みずぞこ)の深(ふか)さや魚(さかな)の群(む)れを探(さが)すソナーも、「かぐや」や「はやぶさ」に搭載(とうさい)されていた、レーザー光線(こうせん)で相手(あいて)との距離(きょり)を測(はか)るライダー(LIDAR)も、みなレーダーの仲間(なかま)だ。

「ボクも仲間(なかま)!」

Rのは、降水(こうすい)を意味(いみ)する「RECIPITATION(プレシピテーション)」という単語(たんご)から。雨(あめ)はレイン(RAIN)だけど、気象用語(きしょうようご)ではこう呼(よ)ばれている。

そして「P」をはかるための「R」、その名(な)も「」という降水(こうすい)をはかるレーダーが、じつは14年前(ねんまえ)から宇宙(うちゅう)で仕事(しごと)をしてきたんだ。


熱帯降雨観測衛星「TRMM」

日本(にほん)で開発(かいはつ)され世界(せかい)で初(はじ)めて実用化(じつようか)された降雨(こうう)レーダー「」は、日米共同(にちべいきょうどう)プロジェクトの衛星(えいせい)「TRMM」(トリム)に搭載(とうさい)され、1997年(ねん)11月(がつ)28日(にち)、H-II(エイチ・ツー)ロケット6号機(ごうき)で打ち上(うちあ)げられた。<画像(がぞう):熱帯降雨観測衛星(ねったいこううかんそくえいせい)「TRMM(トリム)」>

地球(ちきゅう)の気候(きこう)と気象(きしょう)に大(おお)きな影響(えいきょう)を与(あた)える「熱帯地方(ねったいちほう)に降(ふ)る雨(あめ)」がいったいどのように降(ふ)っているのかを突き止(つきと)めようとするプロジェクトだったんだ。

(はじ)めてのチャレンジだったので、当初(とうしょ)は「1年間持(ねんも)てば上出来(じょうでき)」と思(おも)われていたが、機器(きき)はとてもうまく動(うご)き、いくつもの新(あら)たな発見(はっけん)がもたらされた。

そもそも雨(あめ)が降(ふ)るときには雲(くも)が出(で)ている。雲(くも)に光(ひかり)がさえぎられるので、雲(くも)の内部(ないぶ)や雲(くも)の向(む)こうがどうなっているかは分(わ)からないし、雨(あめ)がどう降(ふ)っているかも分(わ)からない。

もともとは、日本(にほん)で電波(でんぱ)の研究(けんきゅう)をしていた人(ひと)たちが、「雨(あめ)が降(ふ)ると電波(でんぱ)での通信(つうしん)がうまくいかなくなる。どの程度(ていど)の雨(あめ)で、どのくらい電波(でんぱ)は減衰(げんすい)(弱(よわ)くなる)するのか」を精密(せいみつ)に調べ始(しらべはじ)めたんだ。

研究(けんきゅう)が進(すす)むうちに逆(ぎゃく)に、「電波(でんぱ)の減衰(げんすい)や散乱(さんらん)(はね返(かえ)り)を測(はか)れば、雨(あめ)の強(つよ)さが分(わ)かるのではないか」という研究(けんきゅう)もはじまった。

「DPR」プレス公開にて記者会見室の様子

飛行機(ひこうき)を使(つか)って空(そら)から雨(あめ)を測(はか)る降水(こうすい)レーダーを試作(しさく)し実験(じっけん)を始(はじ)めたら、世界(せかい)から注目(ちゅうもく)を集(あつ)め、その発展型(はってんがた)としてTRMM(トリム)に搭載(とうさい)される「」が作(つく)られた、というわけだ。

」は雲(くも)の内部(ないぶ)の雨粒(あめつぶ)まで、電波(でんぱ)でしっかりキャッチした。福井県(ふくいけん)で発生(はっせい)した豪雨(ごうう)(2004年(ねん))の積乱雲(せきらんうん)やアメリカを通過(つうか)したハリケーン・カトリーナ(2005年(ねん))の構造(こうぞう)を、まるでCT(シーティー)スキャンにでもかけるように明(あき)らかにしたんだ。

保証(ほしょう)されていた運用期間(うんようきかん)は1年間(ねんかん)だったが、予定(よてい)をはるかに超(こ)え、現在(げんざい)も動(うご)いている! まるでNASA(ナサ)の火星探査(かせいたんさ)ローバー「オポチュニティ」や「スピリット」のようながんばりに、2月(がつ)9日(か)の筑波宇宙(つくばうちゅう)センターでの記者会見(きしゃかいけん)にのぞんだNASA(ナサ)のハウ博士(はかせ)は“関係者(かんけいしゃ)はみな、TRMM(トリム)は並外(なみはず)れた成功(せいこう)を収(おさ)めた衛星(えいせい)だと考(かんが)えています”とコメントしている。<画像(がぞう):GPM主衛星(ジー・ピー・エムしゅえいせい)の模型(もけい)を囲(かこ)むJAXA、情報通信研究機構(じょうほうつうしんけんきゅうきこう)(NICT)、米国航空宇宙局(べいこくこうくううちゅうきょく)(NASA(ナサ))の各関係者(かくかんけいしゃ)

この「」の成功(せいこう)が、今回公開(こんかいこうかい)された新型(しんがた)レーダーD(ディー・ピー・アール)につながっている。新型(しんがた)レーダーの新型(しんがた)たるゆえんは、DPR(ディー・ピー・アール)に隠(かく)されている。後編(こうへん)でそれを解説(かいせつ)するよ。

(後編(こうへん)につづく)


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