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特集

<第4話(だいよんわ)>PLANET-Cのひみつ道具(どうぐ) 5つのスーパーカメラ

一番星を目指せ(第4話タイトル)PLANET-Cのひみつ道具5つのスーパーカメラ

―― 5つもカメラを積(つ)んでいるんですって?

中村(なかむら) 観測(かんそく)のカメラだけで5つ。姿勢(しせい)を知(し)るためのスタートラッカーも加(くわ)えると、7つになりますね。

 ※スタートラッカー:星(ほし)を観測(かんそく)し、星図(せいず)と照らし合(てらしあ)わせて自分(じぶん)の姿勢(しせい)――どの方向(ほうこう)を向(む)いているか――を知(し)るための装置(そうち)。自分(じぶん)の姿勢(しせい)を知(し)ることは、観測(かんそく)だけでなく、地球(ちきゅう)にアンテナを向(む)けるときにも重要(じゅうよう)になる。ちなみに昔(むかし)から船乗(ふなの)りは「六分儀(ろくぶんぎ)」で星(ほし)の高(たか)さを、羅針盤(らしんばん)で方位(ほうい)を調(しら)べ、自船(じせん)の「位置(いち)」を割り出(わりだ)してきた。スタートラッカーで分(わ)かるのは「姿勢(しせい)」のみという違(ちが)いはあるものの、船(ふね)も惑星探査機(わくせいたんさき)も似(に)たようなことをやっているわけだ。PLANET-C(プラネット・シー)ではカメラ2つで一組(ひとくみ)。他(ほか)に太陽(たいよう)センサーも搭載(とうさい)している。

―― それぞれ役割(やくわり)が違(ちが)うから?

中村(なかむら) 見(み)る光(ひかり)の波長(はちょう)が違(ちが)います。人間(にんげん)の目(め)では見(み)えない赤外線(せきがいせん)(波長(はちょう)が長(なが)い)の領域(りょういき)や、紫外線(しがいせん)(波長(はちょう)が短(みぢか)い)の領域(りょういき)で映(うつ)します。広(ひろ)い意味(いみ)で「見(み)ている色(いろ)」が違(ちが)うと言(い)ってもいいでしょうし、それぞれねらいとするものが違(ちが)います。

―― 順番(じゅんばん)に教(おし)えてもらえますか?

(第4話)観測のカメラの役割

中村(なかむら) はい。まず地表(ちひょう)や雲(くも)の動(うご)きを見(み)るのが、IR1と呼(よ)んでいるカメラです。IRは赤外線(せきがいせん)のこと。赤外線(せきがいせん)の中(なか)でも1μm(ミクロン=マイクロメートル、1000分(ぶん)の1ミリ)前後(ぜんご)の波長(はちょう)をねらっているカメラだからこう呼(よ)んでいます。

―― 赤外線(せきがいせん)カメラ……。新型(しんがた)インフルエンザの対策(たいさく)で、入国(にゅうこく)する人(ひと)を撮(と)っていたのも赤外線(せきがいせん)カメラでしたね。発熱(はつねつ)している人(ひと)はそうでない人(ひと)よりも明(あか)るく光(ひか)って見(み)える……。

中村(なかむら) そうです。だから赤外線(せきがいせん)カメラは、カメラであると同時(どうじ)に、「離(はな)れた場所(ばしょ)の温度(おんど)を正確(せいかく)に測(はか)る装置(そうち)」と考(かんが)えてもらってもいいですね。そういう赤外線(せきがいせん)カメラを、PLANET-C(プラネット・シー)では3台搭載(だいとうさい)しているんです。

―― 3台(だい)! それぞれにねらいが違(ちが)う?

アメリカの「マジェラン」が撮影した金星表面。火山地形が見られる。(提供:NASA/JPL)

中村(なかむら) そうなんですよ。まずIR1は金星(きんせい)の昼(ひる)の側(がわ)では、雲(くも)が反射(はんしゃ)・散乱(さんらん)する太陽(たいよう)の光(ひかり)をとらえ、雲(くも)と大気(たいき)の動(うご)きを調(しら)べます。夜側(よるがわ)では雲(くも)の観測(かんそく)に加(くわ)え、地表(ちひょう)にどんな物質(ぶっしつ)があるか、活動中(かつどうちゅう)の活火山(かっかざん)があるかどうかを調(しら)べます。もし活火山(かっかざん)があれば、雲(くも)のせいでぼやけはしますが、その熱(ねつ)でぼんやりと明(あか)るく見(み)えるはず。もし見(み)つかれば、初(はじ)めての発見(はっけん)となります。(写真(しゃしん):アメリカの「マジェラン」が撮影(さつえい)した金星表面(きんせいひょうめん)。火山地形(かざんちけい)が見(み)られる。<提供(ていきょう):NASA/JPL>)

―― おーっ、めざせ世界初(せかいはつ)

中村(なかむら) 次(つぎ)が2μm前後(ぜんご)の波長(はちょう)の赤外線(せきがいせん)をねらうIR2。これは厚(あつ)い雲(くも)の下(した)にある、温度(おんど)の高(たか)い大気(たいき)の動(うご)きを調(しら)べるカメラです。金星(きんせい)の大気(たいき)はほとんどがCO2で、地表面(ちひょうめん)が最(もっと)も暑(あつ)く、上(うえ)に行(い)くに従(したが)って冷(つめ)たくなっています。ちょうどこの波長(はちょう)の赤外線(せきがいせん)は、雲層(うんそう)のすぐ下(した)あたりの温度(おんど)のCO2が放射(ほうしゃ)する赤外線(せきがいせん)に相当(そうとう)するので、その動(うご)きを調(しら)べるのにちょうどいいわけです。

―― ははぁ、IR1もIR2も温度計(おんどけい)だけど、測(はか)る範囲(はんい)が違(ちが)う温度計(おんどけい)だ、ということもできますね。

中村(なかむら) IR2の撮像素子(さつぞうそし)(デジカメでいうCCDに相当(そうとう)するもの)は、世界(せかい)のどこにもなかったものを日本(にほん)のメーカーに頼(たの)んで苦労(くろう)して作(つく)ってもらったもの。本体(ほんたい)を冷(ひ)やす冷却装置(れいきゃくそうち)も日本製(にほんせい)です。宇宙(うちゅう)でも安定(あんてい)して作動(さどう)するすごく性能(せいのう)のいいカメラなので、自慢(じまん)のひとつですよ。

―― 3台目(だいめ)の赤外線(せきがいせん)カメラは?

中村(なかむら) LIRと呼(よ)ぶ、波長(はちょう)10μmあたりの赤外線(せきがいせん)を観測(かんそく)するカメラです。Lはlong(長(なが)い)のLで、波長(はちょう)が長(なが)い赤外線(せきがいせん)をねらっているから。これは雲(くも)のてっぺん付近(ふきん)の温度(おんど)(マイナス数十度(すうじゅうど))に相当(そうとう)するものです。そしてこの温度(おんど)は雲(くも)の高(たか)さと密接(みっせつ)な関係(かんけい)があり、雲(くも)の動(うご)きを知(し)る上(うえ)での大(おお)きなヒントになります。

―― なるほど〜。では4台目(だいめ)は?

読み物特集:一番星を目指せ(第4話)開発中の「あかつき」

中村(なかむら) UVIという紫外線(しがいせん)カメラです。波長(はちょう)でいうと0.283μmとか0.365μmといった短(みぢか)い波長(はちょう)の、やはり目(め)には見(み)えない光(ひかり)をとらえるカメラです。0.283μmでは金星(きんせい)の大気(たいき)に含(ふく)まれる二酸化硫黄(にさんかいおう)をねらったものですが、0.365μmでねらっているのは、まだ素性(すじょう)が分(わ)かっていない未知(みち)の物質(ぶっしつ)。この観測(かんそく)データも楽(たの)しみです。

これらのカメラの観測(かんそく)データをまとめることで、金星(きんせい)の雲(くも)や大気(たいき)の立体的(りったいてき)な動(うご)き、つまり「金星(きんせい)の気象(きしょう)」が今(いま)までにないほどくわしく分(わ)かってくるはずです。(写真(しゃしん):開発中(かいはつちゅう)の「あかつき」。正面(しょうめん)の辺(へん)に沿(そ)って、4つのカメラが並(なら)んでいる)

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